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    坊っちゃん (温泉(ゆ)の町を振り返ると、〜) (取扱ショップ:楽天ブックス)

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      ■青空文庫から『坊っちゃん』を一部抜粋
       温泉(ゆ)の町を振り返ると、赤い灯が、月の光の中にかがやいている。太鼓(たいこ)が鳴るのは遊廓に相違ない。川の流れは浅いけれども早いから、神経質の水のようにやたらに光る。ぶらぶら土手の上をあるきながら、約三丁も来たと思ったら、向うに人影(ひとかげ)が見え出した。月に透(す)かしてみると影は二つある。温泉(ゆ)へ来て村へ帰る若い衆(しゅ)かも知れない。それにしては唄(うた)もうたわない。存外静かだ。
       だんだん歩いて行くと、おれの方が早足だと見えて、二つの影法師が、次第に大きくなる。一人は女らしい。おれの足音を聞きつけて、十間ぐらいの距離(きょり)に逼った時、男がたちまち振り向いた。月は後(うしろ)からさしている。その時おれは男の様子を見て、はてなと思った。男と女はまた元の通りにあるき出した。おれは考えがあるから、急に全速力で追っ懸(か)けた。先方は何の気もつかずに最初の通り、ゆるゆる歩を移している。今は話し声も手に取るように聞える。土手の幅は六尺ぐらいだから、並んで行けば三人がようやくだ。おれは苦もなく後ろから追い付いて、男の袖(そで)を擦(す)り抜(ぬ)けざま、二足前へ出した踵(くびす)をぐるりと返して男の顔を覗(のぞ)き込(こ)んだ。月は正面からおれの五分刈(がり)の頭から顋の辺(あた)りまで、会釈(えしゃく)もなく照(てら)す。男はあっと小声に云ったが、急に横を向いて、もう帰ろうと女を促(うな)がすが早いか、温泉(ゆ)の町の方へ引き返した。
       赤シャツは図太くて胡魔化すつもりか、気が弱くて名乗り損(そく)なったのかしら。ところが狭くて困ってるのは、おればかりではなかった。



      ■『坊っちゃん』などの著作権が切れている作品は青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)でも読むことができます。


      JUGEMテーマ:小説/詩
       

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